2023年1月27日

東南アジア・台湾のインフルエンサーのトレンド

〜YouTuber編〜

近年、東南アジア・台湾において、インフルエンサーを活用したインフルエンサーマーケティングが活発になっております。

ただし、東南アジア・台湾でインフルエンサーを活用したくても、各国にどのようなインフルエンサーがいるのかイメージが難しいと思います。

本記事では、近年、ポピュラーになっているYouTuber系インフルエンサーの概要について説明します。

>>目次

1. インフルエンサーマーケティングの市場の概要

近年、東南アジア・台湾において、インフルエンサーが情報発信する主要媒体が写真中心のFacebook・Instagramなどから動画中心のYouTubeにシフトしております。

YouTubeは、動画媒体であるため、より詳細な情報、より多くの情報を消費者に届けることができるので、美容系の商品のリアルなレビューであったり、レストランや観光地などで取材形式の果的なレビューを実施することができます。

結果、コンバージョンの改善(広告効果の改善)に繋がり、多くの企業がYouTubeを軸としたインフルエンサーマーケティングに投資を増やしております。

広告効果の改善され、売上が向上することで、企業はさらなる広告(インフルエンサー)投資をしていきます。また、インフルエンサー側からすると、写真媒体のFacebookやInstagramよりも、動画媒体は作成自体に工数がかかるため、企業側に高い報酬を請求することができます。

このような背景から、近年、東南アジア・台湾において、写真媒体のFacebookやInstagramからメインの活躍の場がYouTubeに移っており、YouTubeを中心とするインフルエンサーマーケティング市場が急速に拡大しております。

 

2. インフルエンサーの名称の定義

インフルエンサーの呼び方も様々な名称があります。例えば、インフルエンサーが使っている媒体によって、YouTuber、Instagramer、TikTokerなどの呼び方があったり、フォロワー人数に応じて、トップインフルエンサー、ミドルインフルエンサー、マイクロインフルエンサー、ナノインフルエンサーなどの呼び方があったりします。

媒体ごとのインフルエンサーの名称は、そのままなので、定義の説明を割愛しますが、フォロワー人数に応じたインフルエンサーの名称については、マーケティング会社よって異なることもあり、本記事での定義を以下のように明確にしておきます。

ここでのインフルエンサーはYouTuberのことを指しており、フォロワー数はチャンネル登録者数のことを指しております。

※トップインフルエンサーは、メガインフルエンサーとも呼ばれることがあります。
※ミドルインフルエンサーは、マクロインフルエンサーとも呼ばれることがあります。

上記の図の通り、フォロワー数によって、インフルエンサーの呼び方の名称が異なります。この名称が最も多く使用されている定義となり、本記事ではこの定義に基づいて、各国のYouTuberのインフルエンサーについて説明をしていきます。

3. 各国のインフルエンサー(YouTuber)の状況

各国のインフルエンサーの状況を見るためにいくつかデータを見るとイメージがしやすくなります。
※データ出典:CHANNEL CRAWLERより(2023年1月27日時点のもの)

①東南アジア・台湾のインフルエンサーの各国の数

以下の図は、東南アジア主要6カ国及び台湾におけるYouTubeで活躍するチャンネル登録者数1,000人以上のインフルエンサーの人数を国別にまとめたものとなります。

※東南アジア主要6カ国:タイ・ベトナム・フィリピン・インドネシア・マレーシア・シンガポール

こちらのデータを見ると、インドネシアにおけるインフルエンサーの数が70,183人と突出しております。インドネシアは人口が約2.8億人おり、他の国より突出して多いです。それゆえ、インフルエンサーの数も多くなっております。他の国を見ても、概ね各国の人口とインフルエンサーの人数が比例しております。

参考値として挙げている日本のインフルエンサーの数は、39,834人となっており、同じように人口が1億人前後のベトナムやフィリピンと比べても多い数字となります。これは日本がこれらの国よりも先にインフルエンサーマーケティングの市場が形成されたことにあります。

実際にベトナムやフィリピンは、ここ1年ぐらいでインフルエンサーマーケティング市場が急速に形成されています。

②各国おけるインフルエンサーの数(人口10万人あたり)

前述の図は、各国のインフルエンサーの総数でしたが、それぞれの国で人口が異なるので、インフルエンサーの人数が多いのか少ないのかは分かりづらいです。

以下の図で、各国の人口10万人あたりのインフルエンサーの数を抽出してみました(前述同様YouTube上のインフルエンサー)。

人口10万人別に並び替えてみると、大きく結果が異なります。インフルエンサーの総数ではインドネシが圧倒的でしたが、人口10万人単位で見てみると、日本を含む8カ国中6位という結果になっております。

ここから言えることとして、以下のことがあります。

 

中華圏はインフルエンサーマーケティングが盛ん

中国では早い段階からインフルエンサーマーケティングのが盛んに行われておりました。そして、同じ中華圏に属するシンガポールや台湾は文化や言語の繋がりが中国と強く、中国のマーケティング手法などが拡がりやすい傾向にあります。

それゆえ、シンガポールと台湾において、他国より早くインフルエンサーマーケティングが発展して、人口に占めるインフルエンサーの人数が多くなっております。特に台湾においては、インフルエンサーマーケティングが非常に盛んです。

なお、中華圏においては、インフルエンサーのことをKOL(Key Opinion Leader(キーオピオニオンリーダー))と呼んでいることが一般的です。

新興国のインフルエンサーマーケティングは市場形成中のフェーズ

前述の人口10万人あたりのインフルエンサーの数の図を見ると、下位2カ国は、ベトナム・フィリピンとなっており、この2つの国は、所得においても、8カ国の中で下位2カ国となっております。

インフルエンサーが少ない背景として、新興国では所得がまだ低いことから、売れる商品・サービスが限定されてしまいます。売れるものが限定されていると、インフルエンサーを支援するスポンサー企業が限定され、結果、インフルエンサーが稼ぐチャンスが少なくなり、インフルエンサーマーケティングの市場確立に時間を要する、という状況となります。

ただし、これら新興国においても現在急速にインフルエンサーマーケティングの市場が形成されており、日々新しいインフルエンサーが登場しております。

このような新興国では、比較的安価な報酬で著名なインフルエンサーを活用できるという状況になっており、インフルエンサーマーケティングを実施するなら、適切なタイミングと言えます。

③各国のフォロワー数ごとのインフルエンサーの割合

冒頭の部分でインフルエンサーはフォロワーの数に応じて、呼び方が異なるとお伝えしました。

  • トップインフルエンサー:フォロワー数 100万人以上
  • ミドルインフルエンサー:フォロワー数 10万人〜100万人
  • マイクロインフルエンサー:フォロワー数 1万人〜10万人
  • ナノインフルエンサー:フォロワー数 千人〜1万人

これらインフルエンサーをフォロワーの数に応じて国別に集計すると以下のとおりとなります。

基本的には、どの国も、フォロワーが1万人以下のナノインフルエンサーの割合が大半を占めております。特にインドネシアは、インフルエンサーの総数は、70,183人と他の国を圧倒していますが、66%がナノインフルエンサーに留まります。一方、タイにおいては、インフルエンサーの3.4%が100万人のフォロワーを超えるトップインフルエンサーとなっております。

4. ポイントのまとめ

  • インフルエンサーの主要な活躍媒体は、Facbook・Instagramなどの写真媒体から動画媒体であるYouTubeにシフトしている
  •  インフルエンサーの呼び方は使っている媒体やフォロワーの人数によって異なる
  • 中華圏ではインフルエンサーマーケティングが盛んである
  • ベトナムやフィリピンなどの低所得国はインフルエンサーマーケティングが市場形成中のフェーズであり、安価で著名なインフルエンサーを活用できる可能性がある